1. はじめに

エンディングノートは、より良く生きるための手引書

あなたの人生を振り返り、一度「棚卸し」をしませんか?

そして心の荷物をスッキリさせること。それがエンディングノートを書く目的です。


可知 はじめに、エンディングノートとは何かから話しましょうか。エンディングノートとは、自分にもしものことがあった時、残された家族が困らないように自分に関するさまざまな情報や「思い」を書き残しておくものです。

鈴木 遺言書は法的拘束力がある反面、書く時に細かい決まりがあります。でもエンディングノートは法的拘束力がありませんし、特別なルールはありません。好きなように書けます。

 市販のノートに書いても、パソコンで作成してもOK。自分が最も得意な方法で始められますね。

鈴木 ですから何度も書いたり消したりしながら、自分の本当の気持ちを伝えるのに優れています。たとえば遺言書で相続額に差をつけたいと思っている場合、差をつけられた側は気持ち良くないですよね。でもエンディングノートに本当の理由が書いてあれば納得できるかも知れません。そんな使い方ができるのもエンディングノートならではです。

可知 家族と一緒にエンディングノートを書くということもありますね。

鈴木 内容を見せながら書くのは抵抗があるでしょうが、書いていることを家族に伝えておくことは大切です。

 少なくとも、配偶者や同居の家族には伝えておくべきでしょう。あるいは、目につきやすい場所で保管するとか。もしものことがあった時、すぐに見てもらえないと意味がありません。

鈴木 何よりも、自分が書けることから気軽に書いていくと良いと思います。その時、いつも考えなくてはいけないのは、「家族に代わって自分が判断する」ということ。特に健康や介護に関することで何もかもご家族に決めさせるのは、ご家族にとっても重荷です。

 エンディングノートは、残された家族への優しさなんですね。

可知 優しさですか。

 それに、エンディングノートはお年寄りだけのものではありません。若い方でも、奥さんが家のことをすべて仕切っているご家庭で奥さんが入院した場合など、お金の出し方や家賃の払い方も分からないという話をよく聞きます。

鈴木 実は私、一人で仕事をしているので、もしもの時のことを書いた「エンディングファイル」を作っていますよ。何かあったら、誰に連絡して……という内容が書いてあります。

 エンディングノートは、自分の生き方を考える良いきっかけになりますよね。

可知 でもエンディングノートを書きたくても、なかなか敷居が高いと言われる方もあります。

 そうですね。どんなことでも良いので、書きやすいところから自由に書けば良いと思います。

鈴木 締め切りもありませんから、何回でも書きなおせますし。

 書き始めると、次々と発見があると思います。「自分はこんなにたくさんのクレジットカードを持っていたのか!」とか。だから無駄を見直すきっかけにもなります。

可知 少し前に流行った「断捨離」にもつながりますね。

鈴木 エンディングノートは、これからの人生をより良く生きるための手引書です。ぜひ、自分の来し方を見つめながら、一度人生の棚卸しをしませんか?